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のぼゆエンジニアリング

ゼロから機械設計を勉強してみたりするブログ

『ついてきなぁ!』シリーズ(國井良昌著│日刊工業新聞社)は孤立機械設計者のバイブル。工程別におすすめを紹介。

機械設計


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『ついてきなぁ!』シリーズ(國井良昌著│日刊工業新聞社)は、機械設計者に向けた実務書だ。2008年に第一作が発行され、今ではシリーズは14作になる。
その中から大胆に「これだけは読んでおきたい」おすすめをセレクトしてみた。

孤立機械設計者のバイブル

私のような転職の多い人間や非正規雇用者にもありがたい。
同じ会社で一貫してキャリアを積めない上、職場が変わると瞬時に適応せねばならない。

ただ、よしんば正社員でも、身に付くかは運任せだし時間がかかりすぎる。
私が一時いた会社でも、ベテランが仕事を囲い込み、新人に数年以上雑用させてるような所もあった。

そんなこんなでスキルアップを会社には頼れず、社会から「孤立」した技術者が自己研鑽できる、極上のテキストなのだ。

どれを読めばいいの?

全部! ・・・と言いたいところだが、2016年7月時点で14冊が発行されている。

私は初回から刊行される度に買っていたのでコンプリートしているが、初めて出会った人ならいきなり買い揃えるのは大変だろう。

というわけで、14冊から大胆に「これだけは読んでおきたい」おすすめをセレクトしてみた。

設計工程別にわけて紹介していく。

下流工程の人なら、この3冊

ざっくり言うとメーカーから仕様を受け取り詳細設計以降を担当してる人。
元請け、下請けの立場で読むと、実務とリンクしているので染み入るように読めるはず。

具体的な加工知識と設計形状への反映方法を学ぶことができる。

3冊、紹介する。

1. ついてきなぁ!加工知識と設計見積り力で「即戦力」

ついてきなぁ!加工知識と設計見積り力で「即戦力」

ついてきなぁ!加工知識と設計見積り力で「即戦力」

シリーズ第一作。
「板金・樹脂成型・切削」という頻出の加工法の特性とコストについて学べる
部品コストや型代などの見積演習もあるので、じっくりと勉強ができて面白い。

それぞれの特性や加工限界を知ることで、適切な加工方法を根拠を持って選ぶことができるようになる。

世の中に加工法はあまたあれど、「板金・樹脂・切削」という量産三本柱に絞ってあるのでまさに即戦力。

こういう事ってまず実務では多忙で考える暇もなく、過去図面のマネでお茶を濁してしまうことが多い。考える機会と情報が得られる本書はとても貴重だ。

余談ですが
冒頭に「最近の若手技術者は加工現場に来ない」とあるが、行きたくても社内で妨害されることもあった。
協力業者さんとのコネクションを譲りたくないのか、直接聞くことを禁止されたりして。
窓口役の先輩にお伺い立てるのがだんだん面倒になって、直接問い合わせるとスムーズに情報が得られて感動したことがある。(社内では白い目で見られたが) 変なしがらみがある人も、空気をよまずドンドン情報を取りに行ってほしい。


更に広げたい人は

上記の続編だ。
更に範囲を広げて、転造、表面処理、ばね、ゴム成形について解説がされている。



2. ついてきなぁ!加工部品設計で3次元CADのプロになる

ついてきなぁ!加工部品設計で3次元CADのプロになる!―「設計サバイバル術」てんこ盛り

ついてきなぁ!加工部品設計で3次元CADのプロになる!―「設計サバイバル術」てんこ盛り

この本も「板金・樹脂成型・切削」の三本柱だ。
第一作はコストが中心だったが、本書は「設計サバイバル術」がメイン。

例えば板金で箱を作ると一言で言っても、仕様によって設計方法は一つではない。
お菓子の缶などを例にとって、カシメ、溶接など細かく紹介されている。

本書では「小道具」と呼ばれているが、そうした実戦テクニックを学ぶことができる。

3. ついてきなぁ!材料選択の『目利き力』で設計力アップ

ついてきなぁ!材料選択の『目利き力』で設計力アップ―「機械材料の基礎知識」てんこ盛り

ついてきなぁ!材料選択の『目利き力』で設計力アップ―「機械材料の基礎知識」てんこ盛り

この本は、材料選択を根拠を持って出来るようになる事が目的だ。
切削、板金、樹脂成型。それぞれの頻出材料に絞って紹介されている。

普通の材料の教科書だと、様々な材料と物性値が網羅されていていざ手を動かす段になると手が止まってしまう。

マニアックに網羅して暗記するのではなく、汎用的な定石を知り材料選択の『目利き力』を身に付けましょう、というのがコンセプトだ。

  • Q(物性と用途)
  • C(コスト係数)
  • D(入手性) に沿って解説されているので、これ以上ない即効性だ。
余談ですが
下請けだと材料は上から指示される事が多かった。
選定をすることは少ないかもしれないが、材料から丸投げされる事もあるので武装しておいて損はない。


上流工程の人なら、この3冊

上流工程とは、文字通り開発の上流で「プロジェクトを企画し仕様を定義する側」だ。
メーカによって設計者が関わる範囲は違うだろう。
私がいた所では、企画から構想設計まで。以降の詳細設計や加工は実務作業はゼロ。

下流工程で紹介した本だと、乱暴に言うと「枝葉末節」になる。

上流工程では汗のかきどころがちがう。仕様を定義して外注先を束ね企画をまとめあげるリーダーとして振る舞う必要があった。

というわけで、自分のセットメーカー勤務の経験からセレクトしていく。

3冊、紹介する。

1. ついてきなぁ!『設計書ワザ』で勝負する技術者となれ!

ついてきなぁ!『設計書ワザ』で勝負する技術者となれ!

ついてきなぁ!『設計書ワザ』で勝負する技術者となれ!

設計書と聞くと書類仕事の本?と思われるかもしれないが、とんでもない。
それどころか「設計書」は「設計」の根源だ、と指教えてくれた本だ。

ただのお説教ではなく、具体的で現実的な手法が指南されている。
少し紹介すると、

  • 6W2Hシート
    簡単なのに便利なフレームワーク。
    6W2Hに沿って、設計仕様を整理していく。それがきちんとした設計書を描く場合の骨子となる。

  • DQD(簡易設計書)
    エクセルベースだが、ただの設計書のフォーマットではない。
    従来の保管庫行の「設計書」ではなく、アクティブな全員参加型を目指し作られた「設計システム」。
    とても魅力を感じるが、やり方が固定化されてしまった会社では導入は難しいだろうなと思ってしまった。
    実際、ちょっとした提案すら瞬殺却下された事ある。

余談ですが
個人的な体験談になるけど、本書の指摘通り、私がいた会社も設計仕様書がなかった。
古参通しのあうんの呼吸で口伝の仕様ができあがる。
そして最後に動く通りに仕様書もどきを書類として残しておくのが伝統だったのだ。
そんな中で6W2Hシートは、私が関わっている案件の設計仕様を個人的に整理して理解するのに大変役立った。


更に広げたい人は

上記と関連した本だ。
設計書から更に次の段階、CADでの構想検討の具体例が紹介されている。 まさに上流工程の参考書だ。


2. ついてきなぁ!材料選択の『目利き力』で設計力アップ

ついてきなぁ!材料選択の『目利き力』で設計力アップ―「機械材料の基礎知識」てんこ盛り

ついてきなぁ!材料選択の『目利き力』で設計力アップ―「機械材料の基礎知識」てんこ盛り

詳細は、下流工程編に書いた。 上流工程では特に真価が発揮されるはずだ。
私が前いたメーカーでは「とりあえず前の機種に倣えばいいだろ」っていう空気で、いざまっさらな開発となると右往左往したことを思い出した。

詳しくは下流工程編へ

3. ついてきなぁ!失われた「匠のワザ」で設計トラブルを撲滅する!

ついてきなぁ!―失われた『匠のワザ』で設計トラブルを撲滅する!

ついてきなぁ!―失われた『匠のワザ』で設計トラブルを撲滅する!

実際の家電や工業製品を挙げて、具体的なトラブル対策が紹介された事例集だ。
これだけの事例は、一つの会社にいるだけではなかなか得られない。
本があってよかったと思えた。

更に広げたい人は

上の本とタイトルが似ているので迷いそうだが、本書は設計手法の解説書だ。
前書で事例を読み、そして自分でも対策し実行するための手法が本書で学べる。



紹介してない本は?

上で紹介しなかった本は、下記の通り。
2017年春にまた新刊がでる予定なので、とても楽しみだ。

まとめ

下流工程の人なら

上流工程の人なら

© 2017 のぼゆエンジニアリング